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2012年2月24日金曜日

TB-303と初音ミク

TR-808、TR-909、そしてTB-303。
知ってる人は良く知っているけれど、知らない人はまったく知らない。



今ではプレミアがつくビンテージ楽器です。 
でも発売されたときから大人気だったわけではありませんでした。
何故かというと「まったくリアルな音ではなかった」からです。
もともとバンドのドラムやベースを機械で演奏させて、ギターやピアノが弾ければ一人でバンド演奏できますよっていう発想の”機械”でした。
そんなわけですから、当然リアルドラムやベースとただの機械音を比較されて「しょぼい音だね」となり、あまり売れませんでした。
作ったローランドの開発者自身、これを楽器だとは思っていなかったでしょう。
その証拠にリアルタイム演奏がほとんど考慮されていません。 

でも、生産終了後に大人気になりました。 

あるアーティストが使って、今までにない音楽を作ったからです。
もう20年以上昔の話ですね。 
こうゆう歴史を調べているうちに、これに近いことが現代でも起こっているんじゃないかなぁと思いつきました。

これまた知っている人は良く知っているけれど、知らない人はまったく知らない。
初音ミクです。
ソフトウェアPCMシンセサイザーみたいなものでしょうか。
これも、発売された時から大人気だったわけではありません。
ただ上記のTRTBと違うのは発売日からそれほど日にちがたたないうちに認知されはじめたというところです。
動画時代ということもありますし、キャラクターがうけたうえに利用方法が単純明快だったからかもしれません。 
それに、ブームの発祥がアメリカと日本という違いもあります。

初音ミク以前にもボーカロイドというパソコンに歌を歌わせるソフトはありました。
私もかすかな記憶で覚えています。
そのころパソコンでソフトウェアMIDIというものが出始めて、私も興味本位で使ったことがありました。
それ以前は専用のハードウェアが無ければMIDIファイルは再生できませんでした。
それで再生するためのMIDIファイルをヤマハのHPからダウンロードしにいったときにボーカロイドの製品ページを見たんだと思います。 
もちろん初音ミクのようなキャラクターの絵はついていませんでした。
そのときの紹介文が確か「デモソングを歌わせられるソフトウェア」だったと思います。
そうなんです。
当時のヤマハの開発者自身「これじゃデモソングくらいにしか使えないな」と思っていたわけです。
実際、現在の最新のボーカロイドの歌声でも、プロの歌手の歌声と比べてみると、どう聞いても違和感が残る声です。 

でも、確実に人気が上昇してきています。

やっぱり、かつてのTRTBのような1ジャンルを作る”楽器”なんだろうなと思います。
こうゆうデジタル楽器にはリアルさというのは必ずしも必要ないのかもしれません。 
きっと、数年後にはもっと人間の声に近づいたボーカロイドが出るでしょうけど、みんな初代初音ミクを使いたがると思います。
「やっぱ本物の音は違うなぁ」って。
ビンテージ楽器のように。