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2012年12月7日金曜日

テストで8点とった男が1から考える英語

「日本人は日本語が出来ればそれでいいじゃん」と思ったことがある人へおくる不定期連載。

日本人は日本語ができる。
当たり前ですよね。
でも「当たり前」で済ませてしまうと、物事の本質は何もわからないままだったりします。
これは絵でも音楽でも同じです。

「日本人はなぜ英語が出来ないのか?」という疑問の答えは「なぜ日本人は日本語が出来るのか?」という疑問の答えの裏返しだと私は考えます。
というわけで「日本人はなぜ日本語が出来るのか?」を考えたいと思います。

さて、日本人はどうして日本語ができるのでしょうか?
私達日本人が、日本語を理解するためには、まず”日本語”の情報を取り込まなければいけません。
要するに、文字として目にしたり、音声として耳にしたりすることから始まります。
この情報の入力方法が二系統あるのが、ちょっと事態をややこしくしますね。
とりあえず『音声』はおいといて『文字』から考えてみましょうか。

例えば
「今日、学校でさー、爆睡しちゃったよwマジヤベーw」
という文があったとします。
これを日本人はどう理解していくのか、細かく分解していきます。

日本語は左から読むので、最初に目から入ってくるのは”今”という文字になります。
しかし日本人は文字単位ではなく単語単位で文章を理解するので”今”はスルーして”今日”という単語を最初に処理しようとします。

…まあ、ちょっとこの文章を読んでみてください。
「わしたは、せじんつ、マーシンという、かしくんてきなおちもゃを、しょどううがいしちゃいました」

…なんとなく読めましたか?
実はこの文章を一文字一文字をしっかり読もうとするとめちゃくちゃな言葉になりますが、単語単位で見ると、読めてしまうんです。
一文字づつ読んでいるようで、実際は単語を”見て”いるだけなんですね。
つまり”人間の脳は単語単位で言葉を理解する”というわけです。
これはアメリカ人でもネパール人でもマリ人でも同じです。

話を戻しますが、先ほどの文章で最初に脳が処理する単語は”今日”です。
この単語を日本人の脳が受け取ると、どうなるのでしょうか?
それは”想像する”んです。
”今日”という文字を見た瞬間、あなたの脳は”今日”という単語から”今日”というイメージを想像して言葉を理解します。
このイメージは人それぞれ違うと思いますが、例えば「昨日でもない、明日でもない、今」だったり「0:00から24:00」だったり「朝起きてから夜寝るまで」だったりします。
次にイメージする単語は”学校”です。
「学生が集まって遊んだり勉強する建物、場所」といったイメージを意識せず瞬間的にします。
その次は”で”です。
”(そこ)で”という情報なので、学校”で”の話なんだなとイメージします。
ちなみに”さ”は単なる語尾なので文章の雰囲気をイメージはしますが、重要な情報ではないので基本的にスルーされます。

次は文章の本題です。
”爆睡”つまり”めちゃめちゃ深い眠り”というイメージをします。
さらに”しちゃった”、つまり”意図せず、そうなった、してしまった”というイメージをします。
その後は、やはり文章の雰囲気をイメージはしますが、重要な(ry

ここまできて、ようやく話の全体的なイメージがはっきりとしてきます。
「あー、こいつ、今日、学校で、居眠りしたんだな」と。
こうして、日本人は日本語を理解するわけです。

ここまでで、いくつか重要なポイントがあります。
それは
「話の要点の前に、まず状況説明から入る」
「”誰が?”とか”何が?”という主語を省略されても勝手に補完する。また、それを期待して勝手に省略する」
です。

さて、これらの情報から「どうして日本人は英語が出来ないのか」という疑問の答えを探ってみましょうか。


最初に思いつくのが「単語からイメージに変換できない」です。
例えば"atmosphere"という単語からイメージに変換できる人は、あまりいないと思います。
直訳すると大気とか雰囲気となりますが、そうゆう「atmosphere=大気または雰囲気」といった受験勉強的覚え方をしてしまうと、、やっぱりイメージに変換しにくいです。
そうではなくて「atmosphere=もやもやとしたモノがあたりにただよっている」くらい大雑把なイメージを持つほうがいいです。
そこから、発展させて地球の大気とか、場の雰囲気とかムードといったイメージをするとより自然にイメージへと変換することができます。
ここで重要なのが「日本語でイメージせずに、映像でイメージする」です。
日本語でイメージしてしまうと、結局”英語→日本語→理解”という順番になってしまって”英語→理解”というネイティブがするイメージと違ってしまうからです。

つまり『絵は世界共通の言語』と言えるわけですよ。

基本的に「英語を勉強する」ということは、こうした単語のイメージづけをコツコツと積み重ねることだと言えますね。
年単位で時間はかかりますけど、誰でもできることです。
だって、そうやって日本語も覚えたわけですから。

次に「単語がでてくる順番が違う」です。
日本語は話の要点より先に状況説明をします。
でも英語はまったく逆で、まず先に話の要点で、後に状況説明がつきます。
つまり、単語の重要度のランク付けがそもそも違うのです。
このギャップのために、日本人は「英文を後ろから読む」といっためんどくさいことをしたりします。
こればかりは、脳のスイッチを切り替えるしかありません。
幸い、人間の脳はとても柔軟で、長いことやれば必ず”慣れ”ます。
あなたの脳の神経細胞がウネウネとキモイ触手を伸ばして網目をつくるまでの辛抱です。

最後に「主語の重要度が違う」です。
日本語は主語の重要度が低いです。
時には重要であっても省略してしまって「何が?」と聞き返されることもしばしばです。
でも、英語は基本的にキッチリ主語を入れます。
たまに省略したりもしますけど、続く動詞が過去形だったりしないと意味が変わってしまいます。
"You run"だと「あなたは走る」ですけど"Run"だと「逃げろ」みたいな意味になってしまいます。
"Got it"だと「わかった」みたいな意味になりますが、gotがgetの過去形だから、頭のIが省略できるわけです。
英語で主語をぼかすときは"It"などを使いますけど、結局それ自体が主語なので省略するわけではありません。
これもやっぱり意識して脳のスイッチを変えるしかないです。

…とまあ、こんな感じにちょっと違った視点から英語を理解してみるのも、結構役に立つと思いますよ。



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